【5月28日 AFP】国際自動車連盟(FIA)は、フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)のレース中に、ドライバーがオイルや泥で汚れたティアオフシールド(捨てバイザー)をコース上に投げ捨てることについて、モナコGP(Monaco Grand Prix 2016)から「使用枚数を最小限にする」よう呼びかけた。

 FIAはバイザーを頻繁に投げ捨てる習わしを重大視し、安全上の観点から、ごみはもちろん、これまで認められていたティアオフの投げ捨てについて、モナコの公道レースから禁止とする方針を打ち出していた。しかし、ドライバーの要請で再考を余儀なくされ、恒例のドライバーズミーティングで話し合われた結果、このルールは撤回されることになった。

 FIAのチャーリー・ホワイティング(Charlie Whiting)F1レースディレクターは、サーキットより狭いコックピットにティアオフを投げ捨てることで、ドライバーの危険が増大すると指摘した。

「これを踏まえると、最善策はドライバーの常識に頼り、バイザーの使用枚数を最小限にしてもらうことだ。もちろん、状況によって枚数に変動が出ることを前提として」

 ドライバーの多くは、投げ捨て禁止ルールに反対していたため、ホワイティング氏の見解は歓迎された。

 マクラーレン・ホンダ(McLaren-Honda)に所属する元世界王者のジェンソン・バトン(Jenson Button)は、ルールについて「ばかげている」としながらも、同じく元王者のチームメート、フェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)が昨年、ブレーキダクトに引っかかった捨てバイザーが原因で、レースをリタイアしたことも思い起こしたという。

 ホワイティング氏は、「ドライバーとの会合で、ティアオフについては、サーキットよりコックピットに捨てる方が危険だという結論に至った」と説明した。

 ティアオフの投げ捨て禁止については、今季開幕戦のオーストラリアGP(Australian Grand Prix 2016)で導入される予定だったものの、受け入れられる代替案がなかった。

 一部のドライバーは、オーバーオールに特別なポーチを作る案を出したが、出火の際に危険であるほか、高速スピードでの走行中に、片手でティアオフをポケットに入れようとする行為は、別の問題を引き起こすかもしれないと指摘された。

 メルセデスAMG(Mercedes AMG)のパディ・ロウ(Paddy Lowe)代表は、「今週末は、レース中に2枚まで捨てることが許可されている。それで十分だと思う」と話している。(c)AFP/Tim COLLINGS