【4月26日 AFP】世界で最も絶滅が危惧される種の一つであるカンボジアのカメ、バタグル・アフィニス(Batagur affinis)を救う取り組みが、浚渫(しゅんせつ)や違法な森林伐採により妨げられていると、野生動物保護団体が25日、警鐘を鳴らした。

 米野生生物保全協会(WCS)とカンボジア政府は、この小型のカメを保護する懸命な試みを10年以上にわたり続けている。

 しかしWCSは25日、声明を発表し、野生の個体数を10匹未満と推定。さらに繁殖地であるスレアンベル(Sre Ambel)川の一部地域における人為的活動によって、その存続は脅威にさらされていると述べた。

 地元のプロジェクト・コーディネーターによると、巣の減少が観察チームによって確認されているという。その原因については、「浚渫工事の増加や生息域付近での木材輸送、違法伐採による繁殖期のメスへの影響」を挙げている。

 このカメは、別名「ロイヤルタートル」としても知られる。カンボジアでは、王族だけがその卵を食べることを許されたことに由来する名前だ。

 カンボジアのロイヤル・タートルは一時、絶滅したと考えられていたが、2000年にスレアンベル川でわずかに生息していることが確認された。

 再発見以降、巣39個と卵564個が保護され、そのうちの382個の卵が孵化しているという。

 幼生は隔離され、数年間飼育された後に自然に帰されていたが、生息域の減少により生き残るチャンスも減っているとWCSは述べている。

 カンボジアでは多くの種が、森林破壊や密猟により壊滅的な打撃を受けている。最近では、トラが「(種の存続が不可能であることを意味する)機能的絶滅」を宣言されている。(c)AFP