【4月11日 AFP】ギリシャ・イドメニ(Idomeni)にあるマケドニアとの国境検問所周辺で10日、国境を突破しようとした移民らに対しマケドニア警察が催涙ガスを使用し、国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」によると少なくとも260人が治療を受けた。

 バルカン諸国が国境を封鎖し、欧州を北上するルートを遮断した2月中旬以降、イドメニの検問所周辺には、シリアやイラクで起きている紛争などから逃れた移民や難民1万1000人以上が立ち往生し、野営している。

 マケドニア警察は、移民らが国境フェンスを打ち破ろうと石などを投げつけてきたため、自衛のために催涙ガスを使用したと説明している。

 MSF関係者はAFPの取材に対し、「呼吸障害で200人、プラスチック弾による傷で30人、その他の傷で30人が、MSFの治療を受けた」と語った。ただ、マケドニア警察側は、銃弾は使用しなかったとして、プラスチック弾による負傷者が出たとの情報を否定している。

 衝突のきっかけは、国境が間もなく開放されるとのうわさだった。ギリシャ警察筋によると、移民数百人がフェンス周辺に集まり、国境の開放を要求。強行突破を試みたため、マケドニア警察が催涙ガスを使用し始めた。

 AFP記者によると、現場では、催涙ガスから身を守るため顔をスカーフで覆ったり顔に練り歯磨きを塗ったりした人々が、抗議の声を上げながら国境フェンスに向かって投石。呼吸が困難な状態に陥り、気絶する人もいた。フェンスは一部が破られたもようだ。(c)AFP/Vassilis Kyriakoulis with Odile Duperry in Piraeus