【3月31日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は31日、2022年サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)のスタジアムで作業に従事する、100人以上のアジア人の出稼ぎ労働者が、虐待されているとの調査結果を公表した。

 同団体が、22年のW杯会場における人権侵害についての調査内容を発表したのは今回が初めて。カタールがW杯開催の権利を得てから、労働者の待遇は大きな問題となっており、同国を悩ませている。

 英ロンドン(London)を拠点とするアムネスティは、ハリファ国際スタジアム(Khalifa International Stadium)の労働者は給与額でうそをつかれた上にその支払いが数か月滞っており、荒れ果てた宿泊施設をあてがわれている。また、昨年のネパール大地震発生時には、家族を助けようとしていた7人の労働者が帰国を邪魔された。

 アムネスティの担当者は、「労働者搾取を土台にしたW杯」とカタールに対して非難の声を上げている。

「美しいゲームの醜い一面」と題された51ページの報告書は、カタールに対する国際的な批判をさらに強めるとともに、新会長が選出され、方針の全面的な見直しを宣言している国際サッカー連盟(FIFA)にとっても新たなプレッシャーになるとみられている。

 アムネスティによると、調査は今年2月まで約1年間にわたって行われ、主にバングラデシュやインド、ネパールからの出稼ぎ労働者234人の聞き取りが行われた。そのうち228人が、給与が約束された額より低いと主張している。

 この報告書に対してカタール側は、いつになく素早い反応を示し、改善の途上であると指摘。アムネスティの主張は、ハリファ国際スタジアムで作業を行う40社中4社に向けたもので、「誤解を招く恐れのあるもの」だとしている。(c)AFP