【3月17日 AFP】マケドニア国境から2キロほどの距離にある「ギリシャへようこそ」と書かれたぼろぼろの横断幕の下で「彼ら」の運命は分かれる──。

 スロベニアなど西部バルカン諸国はギリシャから欧州北部を目指す移民らの移動ルートとなっているが、同地域の国境は今月9日、全て閉鎖され、ここを通過して目的地へと歩を進めたい人々にとっては、大きな障害となっている。

 閉鎖以前、マケドニアはギリシャ・イドメニ(Idomeni)近くの国境から日々数百人の入国を許可していた。シリア人のアーメドさんも入国許可を待ち、その他大勢のシリア人やイラク人と一緒に、ここにとどまっていた難民の一人だ。

 一方、エジプト人のモハメドさんのケースはこれとは違った。彼は難民とはみなされず、マケドニアには合法に入国できないとされたためだ。さらには、イドメニに滞在することもままならならず、不法にマケドニアへの入国を決心した。運を神に委ねることを決めたのだ。

 ともに30代であるアーメドさんとモハメドさんを取り巻く状況は、最近、欧州各地でみられた戦争難民と経済移民の線引きにより決定づけられていた。バルカン諸国は今年2月、正当なパスポートを持つシリア人とイラク人のみ受け入れ、それ以外の人々は送り返すことを決定していた。

 アーメドさんは、辛抱強く待ち続ければ、いつかは自分にもチャンスが訪れ、最終的には国境を通過して目的地を目指すことができると信じ、イドメニの泥だらけの難民キャンプに滞在することを決めた。ここでは、約1万人に上る他の難民たちと食料や寝床を競い合うことが強いられる。

 一方のモハメドさんは、密入国を斡旋する業者の助けを借りることで国境を越えることができるかもしれない。ただ、そこには命を落とすリスクが常に付きまとう。

 2人は、ギリシャの都市テッサロニキ(Thessaloniki)からの道のり約90キロをタクシーで相乗りした後、高速道路脇にあるホテル駐車場で互いに別れを告げた。