【12月27日 AFP】南米アマゾン(Amazon)の先住民族の人々は、フランス・パリ(Paris)で今月行われ、ダークスーツに身を包んだ政治家や高級技術官僚が地球温暖化の抑制に向けた歴史的合意に達した国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)の会場からは遠く離れている。

 しかし先住民族の人々は、世界最大の熱帯雨林アマゾンの生物多様性を守るため国際的な対策とは違った大胆な行動を取っている。温暖化を抑制する上でアマゾンが存在し続けることは不可欠だ。

 エクアドルのある先住民族は生計手段を狩猟からカカオ栽培に切り替えた。ブラジルではある先住民族が魚種資源の管理を始め、ペルーには石油業や鉱山業、森林伐採業から環境を保護するため、自治政府を発足させた先住民族も現れた。

 伝統的に狩猟で生計を立ててきたエクアドルの先住民族ワオラニ(Waorani)の人々は、環境を守ろうという強い意識から2010年に狩猟をやめてカカオの栽培を始めた。

 ジャングルのただ中にある集落、ガレノ(Gareno)で生活する彼らは、熱帯雨林の息苦しいほどの高温はほとんど気にしていないようだが、獲物が見つけにくくなっていることには気が付いていた。

 先住民女性の団体、「エクアドル・アマゾンのワオラニ女性の会(AMWAE)」は、夫が狩猟をやめた場合、妻にカカオの木を提供するプロジェクトを立ち上げた。東部のパスタサ(Pastaza)州とナポ(Napo)州で先住民族の10のコミュニティーがこのプロジェクトに参加し、70家族が計25ヘクタールの農地で栽培を行っている。

 収穫されたカカオ豆は、市場価格を45セント(約54円)上回る1ポンド(約454グラム)当たり1.25ドル(約150円)でAMWAEが買い取る仕組みだ。豆は首都キト(Quito)に送られ、チョコレートの原料になる。

 夫が亡くなった後、カカオ栽培からの収入で6人の子どもを育てている女性(26)は「目を見張りました」と語った。「以前は(男の人たちが)たくさんの動物を狩っていましたが、今は男性もカカオ栽培に加わり、動物を殺すのをやめました」と話した。