【11月27日 AFP】国際陸上競技連盟(IAAF)で大きな重圧に直面しているセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は26日、米スポーツ用品メーカー「ナイキ(Nike)」の顧問を退き、窮地に立つ同連盟の健全化を図ることに専念すると発表した。

 コー会長はIAAF理事会の終了後に「私は38年間務めたナイキの顧問を退くことにした」と述べ、現状について、「IAAFにも、ナイキにとっても好ましくない」としている。

 無報酬でIAAFの会長を務めているコー会長は、米オレゴン(Oregon)州を拠点とするナイキから年間およそ10万ポンド(約1850万円)の顧問料を受け取っていた。

 五輪で陸上男子1500メートルを2度制しているコー会長は、ラミーヌ・ディアック(Lamine Diack)前会長が2021年に行われる第18回世界陸上(18th IAAF World Championships in Athletics Eugene)の開催地を同州ユージーン(Eugene)に決定した際のロビー活動について批判にさらされている。

 英紙タイムズ(The Times)によると、2021年大会のライバル候補地としてスウェーデン・イエーテボリ(Gothenburg)招致委の責任者を務めていたビョルン・エリクソン(Bjorn Eriksson)氏は、25日にコー会長から電話があり、正式な投票手続きが行われずに開催地がユージーンに決まったのは間違いだったと話していたと伝えられている。

 しかしながら、コー会長は4月に実施された決定について自らの責任を否定している。

 エリクソン氏はまた、開催地がユージーンに決まった件について、8月に退任したディアック前会長が首謀者とされているIAAFの汚職事件に関連してフランス警察が捜査中であると、コー会長が示唆したことも明らかにした。ディアック前会長は、選手がドーピング検査で陽性反応を示したことを隠蔽(いんぺい)する見返りに、関係者から賄賂を受け取った容疑でも捜査されている。

 エリクソン氏は、「セバスチャン・コー氏の話を正しく解釈するならば、彼は『私は手続きが正しくなかったことに同感だ』と語っていた。しかし、彼自身の関与は否定し、他の人物に責任があると主張している」と明かした。

 コー会長は2021年大会の招致でユージーンの強力な支援者となっており、通常の手続きを破棄するために実施された今年の投票ではIAAFの評議員を務めていた。ユージーンで創設されたナイキは、招致の際に同市を強力に支援していた。

 さらに、英国放送協会(BBC)は24日、コー会長がナイキの重役に対して、ユージーンを代表してディアック前会長に「接触」を図ることを確約した電子メールの内容を伝えていた。(c)AFP/Luke PHILLIPS