【11月27日 AFP】国際陸上競技連盟(IAAF)は26日、ドーピング問題が横行している問題で、ロシア陸上競技連盟(ARAF)が聴聞会を求めることなく「完全資格停止処分」を受け入れたことを明らかにした。

 モナコで開かれた理事会で、IAAFがこれまで科した中で最も重い処分が正式に執行されることが決まった。

 これまで不正行為について否定してきたARAFは、国際大会復帰への可能性を探り、外部の調査チームと改革に取り組むことを確約した。同国の陸上選手は、来年8月に開催されるリオデジャネイロ五輪の出場が危ぶまれている。

 今月、世界反ドーピング機関(WADA)がロシア陸上界において「国ぐるみ」のドーピングがまん延していると告発する報告書を発表したことを受け、IAAFは同国に対して暫定的な活動禁止処分を科していた。

 IAAFは声明で25日にARAFから書簡を受け取ったことを明かし、その中でロシア側が「権利である聴聞会を請求せず、完全資格停止処分を受け入れる」と記していたと発表した。

「ARAFは、IAAFの調査チームが検証基準を満たしていると判断した場合のみ、理事会がARAFのIAAF復帰を容認することを確認した。ARAFは全面的かつ積極的に、調査チームに協力していくことを約束した」

 ARAFのワジム・ゼリチェノク(Vadim Zelichenok)暫定会長は、同連盟が上訴した場合、さらに重い処分が科されることを懸念したと述べている。

 露通信社Rスポーツ(R-Sport)は、ゼリチェノク暫定会長の発言として、「われわれは、できる限り迅速に一から状況を改善することが望ましいと判断した」と伝えている。

「われわれは、欠陥の修正に着手することで一致し、すでに行動を開始している。さもなければ、この苦痛を長引かせ、より深刻な事態に陥るのを待つことになる」

 IAAFのセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長はドーピング問題の解決を図るために、「孤立化でなく関わり」を求めてると語っていた。

 IAAFは検証基準については、ドーピングが判明したロシアの陸上選手とコーチに対する「即時」処分の適用、スポーツに関するドーピングを犯罪とするための法の整備、さらには選手が薬物違反について当局に「安全に内部告発」できるシステムの確立を含めるとしている。

 IAAFはまた、「持続的で、透明性があり、効果的な反ドーピング検査プログラム」を求めている。

 その一方でコー会長は、「期限についてはあまり重要ではない、ARAFが資格を取り戻す時期はIAAFが判断する」とつけ加えた。

 WADAの報告書では、ロシアの反ドーピング機関(RUSADA)が「日常的に」検査の国際基準を破り、選手たちのドーピングを許して競技に出場させていたと糾弾していた。

 さらに、WADAでは2016年初めにも第2弾の報告書を発表する予定としており、責任者を務めるリチャード・パウンド(Richard Pound)氏によれば、「驚くべき内容」になるという。

 パウンド氏は、英紙インディペンデント(Independent)に対して、「世間は、どうしてこんなことになっているのかと言うだろう。これは、陸上界で責任を負う人々による紛れもない裏切りだ」と語っている。(c)AFP/Luke PHILLIPS