【9月19日 AFP】移民が殺到しているクロアチアが18日、ハンガリー国境へのバスによる移民の輸送を始めた。欧州では、国境を封鎖する国々も出るなど、移民や難民が大量に流入している問題において緊張が高まっている。

 クロアチアは、この2日間で1万7000人を超える人々が入国し、受け入れ能力が限界に達したとして、移民問題に強硬な姿勢を取るハンガリーの国境への移民の輸送を始めた。ハンガリーはこれまで、移民流入から「国境を守る」と明言している。

 クロアチアとの国境の一部で、移民らの流入を阻止するための新たなフェンスの設置を開始したハンガリー政府は、不法越境を厳罰化する同国の新法に違反するよう移民をそそのかしているとクロアチア政府を批判し、外交摩擦を生んでいる。

 内戦や経済的な困窮状態から逃れ、欧州に避難しようとする人々の流入は減る気配がなく、複数か所で国境が封鎖され、流入を制限する国も増えてきていることから、数千人が立ち往生している。新たに発表されたデータによれば、6月までの3か月間に欧州連合(EU)が受けた難民申請の数は約25万件に達している。

 クロアチアのベスナ・プシッチ(Vesna Pusic)外相は18日、同国政府とハンガリー政府は、「脆弱(ぜいじゃく)な移民」がハンガリーに入国することを許可することで合意したと述べた。プシッチ外相は、誰が「脆弱な移民」という範囲に入り、何人が入国を許可されるかについては言及しなかったが、前例では女性や子ども、老人などがこれに該当する。

 一方、合意に関して、ハンガリー側の確認は取れていない。

 国境に近いハンガリー側のベレメンド(Beremend)村で取材しているAFP記者によれば、18日夕方までに、1台に約60人の移民を乗せたバス約20台が越境を許可されたという。さらに30台のバスが待機しているという。(c)AFP