【7月9日 AFP】フィリピン人のレイナルド・ニロさん(17)が心臓の大手術を受けた傷痕には包帯が巻かれている。それでも、彼はスーダンで手術を受けた後、以前より強くなった気がするという。

 レイナルドさんは先月、スーダンの首都ハルツーム(Khartoum)に到着した。イタリアの医療慈善団体が無料で治療をしているスーダンの病院に関するテレビ番組を、姉が見たことがきっかけだ。

 病室にいた彼の声はまだか弱かったが、5時間に及んだ手術から快方に向かっていると語った。「以前より元気になったし、強く感じられる」と、姉のサラ・ジョイさん(25)に付き添われながら、彼は語った。

 貧しい農家に生まれたレイナルドさんは2年前、学校を中退した。リウマチ性心疾患を患ったためだ。彼は子どもの頃にレンサ球菌咽頭炎にかかったが、抗生物質で治療しなかったために、それが重い心臓疾患へと発展した。

 家の近くの病院では2万5000ドル(約300万円)の手術費がかかり、一家には払えない額だった。そんなときにサラさんがテレビでスーダンの病院の話を知り、彼の命は救われた。

 彼女が見たのは、1994年のルワンダ大虐殺のときに人道支援組織「エマージェンシー(Emergency)」を立ち上げた外科医ジーノ・ストラーダ(Gino Strada)氏のドキュメンタリーだった。「CNNでストラーダ医師が無償で心臓手術をやっているのを見た」と、彼女は振り返る。「希望が見えた」