【3月9日 AFP】地中海の島国キプロスで昨秋、200万羽を超える渡り鳥が、食用目的で違法に殺されたと9日、自然保護団体が発表した。

 鳥類保護NGO「バードライフ・キプロス(Birdlife Cyprus)」は、昨年9~10月の狩猟シーズンに調査を実施し、網や鳥もちを使った捕獲方法で無差別に捕らえられた鳥の数を推計した。その結果、かすみ網の数は前年に比べおよそ2倍に増加していた。同団体は「悲しいことにこの違法行為の劇的変化を示した結果だ」と危惧している。

 昨年秋、鳥の捕獲に使用された網は総長約16キロに及んでいた。また地元当局や非政府組織などから報告があったもち竿などの数は6000本を越えた。わなのこうした設置状況から、2014年秋にキプロス全体で殺された鳥の数は200万羽を超えると同団体は推計している。この数は、13年前に野鳥の違法捕獲の監視を始めてから最多だという。

 キプロスの狩猟・野生鳥獣保護当局によると、野鳥の違法取引は年間約1500万ユーロ(約19億7000万円)相当の規模。違法狩猟を行った者には3年以内の禁錮刑と最高1万7000ユーロ(約220万円)の罰金が定められているが、実際に科される例はまれだという。

 キプロスには冬の間、寒さの厳しい北国から数百万羽の鳥が集まってくる。絶滅危惧種に指定されていたり、保護が必要とされたりしている約60種類の鳥類が、キプロスの違法なわなにかかっているという。(c)AFP