【1月30日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が人質に取っている日本人ジャーナリスト、後藤健二(Kenji Goto)さん解放の条件として釈放を要求したことで一躍注目を集めたサジダ・リシャウィ(Sajida al-Rishawi)死刑囚(44)について、専門家らは、イスラム国にとっての重要なシンボルであると指摘している。

 イスラム国の前身に当たるイラクの過激派組織「イラク聖戦アルカイダ組織(Al-Qaeda in Iraq)」と深いつながりを持っていたリシャウィ死刑囚は、2005年11月9日にヨルダンの首都アンマン(Amman)でホテル3か所が標的となった同時爆破事件に関与したとして、同国で死刑判決を受けて収監されている。

 爆破事件では、リシャウィ死刑囚の夫だったアリ・フセイン・シャマリ(Ali Hussein al-Shammari)容疑者を含むイラク人3人がそれぞれ別のホテルで自爆し、60人が死亡。中東諸国の中でも情勢が安定した国として知られていたヨルダンには衝撃が広がった。

 米シンクタンク「中東フォーラム(Middle East Forum)」のアイマン・タミミ(Aymenn al-Tamimi)研究員は、「リシャウィ死刑囚が重要視される理由は、『イラク聖戦アルカイダ組織』とのつながりや、同組織がイラク国外で実行した攻撃の中でも最も大きなものの一つであるアンマン同時爆破事件への関与にある」と語る。

 また、イスラム国が突如リシャウィ死刑囚に注目した背景には、拘束しているヨルダン人パイロット、モアズ・カサスベ(Maaz al-Kassasbeh)さんとの人質交換の可能性がでてきたことがあると、タミミ氏は説明する。「(イスラム国は)国家として認知されたいとの思惑がある。身代金と引き換えの人質解放という武装グループがよく用いる手口を取るのではなく、敵国に人質交換を提案することは、この目的を達成するための一つの手段だ」