【1月28日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に拘束され、殺害が予告されているジャーナリストの後藤健二(Kenji Goto)さんとヨルダン軍パイロットのモアズ・カサスベ(Maaz al-Kassasbeh)さんの親らが28日、イスラム国側が指定したサジダ・リシャウィ(Sajida al-Rishawi)死刑囚との交換の期限が迫る中、解放を求める訴えを行った。

 後藤さんの母親は会見で「健二の命を救ってください」と日本政府に呼び掛け、カサスベさんの父親、サフィ・カサスベ(Safi Kassasbeh)さんは、ヨルダン政府に対し「いかなる代償を払っても」息子を救出してほしいと要請した。

■中山副大臣「現時点で返答する情報はない」

 イスラム国は日本時間27日午後11時ごろにインターネットに公開された動画の中で、2006年に死刑判決を受け、ヨルダンの刑務所に収監されているリシャウィ死刑囚を24時間以内に釈放しなければ、後藤さんとカサスベさんを殺害すると予告した。

 イスラム国の設定した期限が迫る中、ヨルダンの首都アンマン(Amman)で日本政府の現地対策本部長を務める中山泰秀(Yasuhide Nakayama)外務副大臣は報道陣に「現時点で返答する情報はない」と語り、「現在進行中の問題であり、返答を差し控える」と述べた。

■ヨルダン軍情報筋「カサスベさんを解放するかどうかは不明」

 カサスベさんの父親、サフィさんは27日夜、数十人の親族とともにアンマンの政府庁舎前で抗議デモを行った。親族たちは「われわれは皆、モアズだ」と書かれたプラカードを掲げた。

「私たちの要望はただ一つ。どんな代償を払ってでも、モアズを帰還させることだ」とサフィさんは地元メディアに語った。「政府当局は、息子の解放について接触があったと言って、安心させてくれていた」とサフィさんは語る。だが、「最新の動画が公開された後は何も聞かされていない」と述べた。

 ヨルダン軍の情報筋はAFPの取材に対し、動画のメッセージにはカサスベさんの殺害を予告する内容があった一方で、リシャウィ死刑囚を釈放すれば交換でカサスベさんを解放するのかどうかについては触れられていなかったと指摘した。(c)AFP