【10月10日 AFP】ボリビア南東部に、6500万年前の恐竜の足跡が5000個以上も残る丘がある。だが保全活動家たちは、この古生物学上の宝が人間の活動のせいで危機にさらされていると訴えている。

 丘はボリビアの法律上の首都スクレ(Sucre)郊外にあり、地元のケチュア(Quechua)語で「石灰の丘」を意味する「カル・オルコ(Cal Orcko)」と呼ばれている。恐竜の足跡化石群としては世界最大級だ。

 足跡の大半は、巨大肉食恐竜ティタノサウルスや、鳥脚類恐竜、装甲を身にまとったアンキロサウルスのものだが、専門家らはさらに8種類以上の動物の足跡があると推測している。この丘は多くの観光客を呼び込み、年間約12万人が訪れる。

 一方で、近くにはセメント工場「ファンセサ(Fancesa)」があり、近隣の採石場から石灰岩を掘削し続けている。ファンセサを所有しているのは、県と市の両政府と地元の大学だ。

「資源を取る作業によって、この丘は何年も影響を受けてきた」と、カル・オルコを保護する私設財団「白亜公園(Cretaceous Park)」のエリザベス・バルディビエソ(Elizabeth Baldivieso)氏は言う。

 だが地元の観光文化局長のフアン・ホセ・ペディラ氏は、その見方は「いくぶん大げさだ」と反論。ファンセサは化石を守ると約束してきたと主張する。

 恐竜の足跡は岩壁を垂直に上っているように見える。この勾配の長さは1.5キロ、高さ120メートルあるが、恐竜たちがその上を歩いていた約6500万年前は、現在とはまったく異なる平たんな泥地だった。

 時を経るにつれ、地下の構造プレートなどが動き、地表にほぼ垂直に出現。泥も乾き、石灰岩となったという。

 恐竜の足跡は、雨や浸食によって1990年代半ばに初めて発見された。他の場所はセメント工場の掘削によって発見された。

 ボリビア政府は2009年にカル・オルコの国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産登録を試みたが、セメント会社が現存の保護政策を引き合いに反対した。しかし、2015年に再び政府が推薦する見込みだ。(c)AFP/José Arturo Cárdenas