【7月30日 AFP】有名な霊長類研究学者のジェーン・グドール(Jane Goodall)博士(80)が29日、世界の類人猿は数十年内に絶滅する可能性があると警告し、人類の「親戚」が絶滅しないよう人々に行動を呼びかけた。

 ケニアの首都ナイロビ(Nairobi)でAFPのインタビューに応じたグドール博士は「今、行動を起こさないと、類人猿は生息地の破壊と密売のために消滅するだろう」と語った。

 英国の科学者で、タンザニアのゴンベ国立公園(Gombe National Park)で50年以上チンパンジーの研究を続けている同博士は、世界21か国に生息するチンパンジーの数が、半世紀前の200万匹から現在は30万匹にまで減っていると説明した。

 国連の支援を受けて発表された6月の報告書によると、現在のペースでインフラ整備および材木、鉱物、石油、ガスを含めた天然資源の採取が進めば、2030年までに、チンパンジー、ゴリラ、ボノボ、オランウータン、テナガザルなど、類人猿の生息地はアフリカで90%、アジアで99%が影響を受けることになると予想される。

「われわれ人類は統合失調症なのです。驚くべき知性を備えているが、自然と調和する力を失ってしまったようです」

 グドール博士は人類に最も近い種の絶滅は、気候変動と地球温暖化の厳しい警告となると述べる。

「彼ら(類人猿)を失うとしたら、それはおそらく森林を失ったためで、気候変動にも計り知れない影響を与えることになる」

 しかし、ボランティアの環境保護団体をアフリカに設立したグドール博士は、人々に失望ではなく行動するよう求めている。

 グドール博士は、紛争で荒廃したコンゴ民主共和国で、同博士の環境保護団体に励まされた子どもたちが、初めは懐疑的だった現地の司令官らを説得し、地元の民兵たちと山に行って植林をしたエピソードに触れた。「30分も経たないうちに、兵士4人全員が武器をわきに置いて、子どもたちが木を植えるのを手伝ったのです」

「私の皆さんへの最後のメッセージは、人生はかけがえのないものであり、それぞれの人生が変化をもたらすことができるということ。多くの人があきらめや失望で何もしなくなってしまう。でも、目の前にあるものに取り組むことで、何かを成し遂げることができるのです」

(c)AFP/Peter MARTELL