【6月24日 AFP】スーダンで背教行為を理由に死刑判決を受け、上訴中に拘置所内で出産していたキリスト教徒の女性メリアム・ヤヒア・イブラヒム・イシャグ(Meriam Yahia Ibrahim Ishag)さん(26)が23日、釈放された。しかし弁護士によると、イシャグさんは殺害予告を受け、生命の危険があるとして直ちに身を隠したという。

 先月15日にイシャグさんに死刑判決が言い渡されると、欧米諸国の政府や人権団体から激しい抗議の声が寄せられた。オンライン署名募集サイト「change.org」でも、約100万人がイシャグさんの死刑を無効にするよう訴えて署名した。国営メディアは、イシャグさんに一審で下された死刑判決が上訴審で取り消されたことを確認した。

 イシャグさんの弁護団の一人はAFPに対し、イシャグさんは「安全な場所にいる。どこかは言わない」と語り、「最大の理由は彼女の命を心配しているからだ」とした。

 イスラム教徒の父親とエチオピア正教会のキリスト教徒の母親を持つイシャグさんは、同国で1983年に施行された、改宗者は死刑に処すと定めたイスラム法(シャリア)に基づいて有罪が言い渡され、弁護士らが上訴していた。一審の死刑判決から12日後、イシャグさんは、勾留されていた首都ハルツーム(Khartoum)近郊のオムドゥルマン(Omdurman)市の女子刑務所で女児を出産した。

 同弁護士によると、夫のダニエル・ワニ(Daniel Wani)さんは、イシャグさんと生まれたばかりの女児、またイシャグさんと同じ刑務所に収容されていた1歳8か月の息子と一緒にいるという。

 一方で同弁護士をはじめ、イシャグさんのその他の法律専門家グループは、殺害の脅迫を受けているとしている。

 英国に本拠を置き信教の自由を訴える活動をしている「世界キリスト教連帯(Christian Solidarity WorldwideCSW)」のマービン・トーマス(Mervyn Thomas)代表は、CSWはこのような「脅迫や憎悪発言」にがくぜんとしていると述べた。CSWの話では、イシャグさんの「兄弟と名乗る人物が、もし裁判所が彼女を無罪としたら、家族が死刑を執行すると公言している」という。(c)AFP/Ian Timberlake