【6月14日 AFP】サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)の開幕戦で、開催国のブラジルに1-3で敗れたクロアチアのメディアは13日、微妙な判定でブラジルにPKを与えた西村雄一(Yuichi Nishimura)主審を一斉に批判した。

 クロアチアの主要紙は、西村主審の判定を「でっち上げられたPK」と嘆き、各紙の一面は「不公平だ!」、「恥を知れ!」、「主審は恥も外聞もなくヴァトレニ(Vatreni、クロアチア語で炎を意味する同国代表の愛称)を打ち砕いた!」などの見出しがつけられた。

 各紙はまた、クロアチア国営放送(HRT)に対するニコ・コバチ(Niko Kovac)監督の「もしあれがPKなら、われわれはもうサッカーなどするべきではない」というコメントを称賛している。

 2012年にアジア最優秀主審を受賞した西村主審は、1-1で迎えた後半にクロアチアのデヤン・ロブレン(Dejan Lovren)を背負ってボールを受けたフレッジ(Fred)が倒れた場面でPKを指示し、試合の流れを大きく変えた。

 クロアチアの日刊紙ユタルニ・リスト(Jutarnji List)は、「W杯開幕戦での許しがたい主審の過ち」が「クロアチアの心をズタズタにした」と厳しく非難し、あるコラムニストは、「西村主審の非常識なルールの解釈によって、クロアチアはブラジルと対等な立場で戦う権利を奪われた」と寄稿している。

 スポーツ紙のスポルツケ・ノヴォスティ(Sportske Novosti)は、PKを含め2得点を挙げたブラジルのネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)を称賛する一方で、西村主審を容赦なく批判している。

 スポルツケ・ノヴォスティ紙は、「ネイマールと西村主審がクロアチアの大きな夢を奪った。クロアチアは素晴らしい立ち上がりをみせ、マルセロ(Marcelo Vieira Da Silva Junior)のオウンゴールはスタジアムを静まり返らせた。しかし、ブラジルは目覚め、主審の助けを借りて試合の流れを変えた」としている。

 また、同紙はこの試合のポジティブな側面として、ニコ・コバチ監督のチームが「大会で期待が持てることを証明した」と伝え、クロアチアのファンを勇気づける内容だったとしているが、チームは「手堅い」ながらも試合の流れを変えられる能力を持つ選手を欠いていると警告している。

 ユタルニ・リスト紙はクロアチアは勇敢にプレーしたと強調し、ベチュルニ・リスト(Vecernji List)紙は、「敗北後も誇りは残っている」と評価している。

 クロアチアは18日にカメルーン、23日にメキシコと対戦する。(c)AFP