【6月12日 AFP】ジンバブエで論争の的となっている土地改革の実施状況を調査した結果、白人地主から接収した農地を、10歳の子どもにまで供与していたことが分かった。国営メディアが10日報じた。

 ロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領と、同氏が党首を務めるジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)は2000年、植民地時代の土地所有の不均衡是正を目指し、白人が所有する農地を、土地を持たない黒人に再分配するという土地改革に着手した。だが、土地の収用は暴力的になる場合も多く、1970年代の独立運動に参加した元戦闘員らとの衝突で白人地主が死亡する事件も起きた。

 この改革の規則では、再分配する土地は1人につき1か所のみと定められているが、今回行われた調査で一部の市民が不正に2か所以上の土地を受け取り、子の名前で登録していることが明らかになった。

 政府系日刊紙ヘラルド(Herald)がダグラス・モンベショラ(Douglas Mombeshora)土地・再定住相の話として伝えたところによると、農地の所有状況と生産性について調査する暫定評価の結果、「21歳未満への供与は行わないことになっているにもかかわらず、10歳や12歳といった子どもが登録されて」おり、「子どもの代わりに農地を獲得した親がいるとみられる」ことが分かった。

 土地改革の反対派は、供与を受けた人々が農地を活用するだけの資金も技術も持ち合わせておらず、これらの農地の生産性が下がっていることを批判している。改革が始まった2000年以前には食料輸出国だったジンバブエは現在食糧難に陥り、隣国からの輸入に依存している。

 なおムガベ大統領とその妻は「1人1か所」の原則に反し、複数の農地を所有しているとされる。モンベショラ氏はこの改革の本格的な評価作業の費用として、政府は3500万ドル(約36億円)を拠出しなければならないとしている。(c)AFP