【6月2日 AFP】スーダン政府は1日、背教行為を理由に死刑判決を受けたキリスト教徒の女性が間もなく釈放されるとの外務省高官の言葉が報じられたことについて、文脈を無視して伝えられたものだとして否定した。

 メリアム・ヤヒア・イブラヒム・イシャグ(Meriam Yahia Ibrahim Ishag)さん(26)は5月15日、改宗者を死刑に処すとした1983 年施行のシャリア(イスラム法)に基づき、死刑判決を言い渡された。

 アブドラ・アズラグ(Abdullah al-Azraq)外務次官は5月31日、AFPなどのメディアに対し、イシャグさんは「裁判所と司法省が行う法的手続きに従い、近日中に釈放されるだろう」と語っていた。

 ところが外務省は1日の声明で、イシャグさんの釈放は、弁護側の上訴を裁判所が受理するかどうかにかかっていると説明。アズラグ外務次官の発言については、「弁護側は上訴しており…控訴裁判所がこれを認めれば、彼女は釈放されるだろう」と述べたのだとした。

 また外務省は、同外務次官が「裁判所は独立した機関であるので、政府は裁判所の仕事に介入しない」と述べたのだと付け加え、「一部メディアが、文脈を無視して外務次官の発言を取り出し、発言の意味を変えた」と主張した。

 アズラグ外務次官の発言の後、イシャグさんの夫のダニエル・ワニ(Daniel Wani)さんはAFPの取材に対し、妻が釈放されるとは思っていないと語っていた。「誰からも連絡がないので、そうなるとは思わない。上訴したが、裁判所はそれをまだ見てもいないのに、どうして釈放するだろうか」

 イシャグさんは5月27日、拘置所内で女児を出産。米国籍のワニさんは当初、イシャグさんと赤ちゃんとの面会を拒否されていたが、先月29日に面会が実現した。2人とも健康だという。(c)AFP