【5月31日 AFP】南米のボリビアで30日、政府所在地のラパス (La Paz)とその近くの都市エルアルト(El Alto)を結ぶロープウエーが開業した。標高4000メートル近くという、世界で一番高い場所にあるロープウエーだ。

 オーストリアのドッペルマイヤー(Doppelmayr )グループが建設し、総工費は2億3400万ドル(約238億円)。今回開通したのは全長約10キロのうち約2.6キロの区間で、車なら30分以上かかるラパス─エルアルト間を10分足らずで結ぶ。残る7.3キロの区間も年内に開業する予定になっている。

 標高3660メートルのラパスは世界で最も標高が高い政府所在地。アンデスの山々に架けられたロープウエー路線からはボリビア最高峰イリマニ(Illimani)山の美しい姿が見える。

 ラパスで行われた開業式典でボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領は「ロープウエー路線の完成は喜ばしい。ラパスの住民にとって重要な成果だ」と述べた。

 式典後、ラパスとエルアルトの乗降場には早速ロープウエーに乗ろうという大勢の人が長い列を作った。その中の1人、銀行員のホルヘ・ビリェナ(Jorge Villena)さん(25)はAFPに、「言葉も出ないほど素晴らしかった。静かさも、イリマニ山の眺めも。完璧です」と語った。

 国営の運営会社ミテレフェリコ(Mi Teleferico)の幹部は、ロープウエーによる都市間交通システムの導入時期でみると、ラパスとエルアルトは早い方から世界で10番目以内に入る、としている。ラパスとエルアルトには合わせて160万人以上が暮している

 運賃は3ボリビアノ(約45円)で、1両に最大で10人の乗客が乗ることができる。正式な運行予測によると、1日に17時間、1年に360日運行し、1時間に最大で1万8000人を運べるとされている。

 ボリビアにはもう1か所、中部の都市コチャバンバ(Cochabamba)にロープウエーがあるが、こちらは観光客向けだ。(c)AFP