【11月22日 AFP】中央アフリカのミシェル・ジョトディア(Michel Djotodia)暫定政府大統領は21日、戦争犯罪により世界の最重要指名手配者の1人に名を連ねるウガンダの反政府武装勢力「神の抵抗軍(Lord's Resistance ArmyLRA)」のジョゼフ・コニー(Joseph Kony)司令官(50)と接触し、降伏するよう交渉中であることを明らかにした。

 ジョトディア氏は首都バンギ(Bangui)で政治指導者らとの会談中に「ジョゼフ・コニーに投降の意思があるというのは本当だ。われわれは彼と交渉している」と言明し、「食料提供の要請があったため、政府が対応した」と語った。

 同司令官に対しては2005年、国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)が人道に対する罪の容疑で逮捕状を出している。また米国も、同司令官の身柄に500万ドル(約5億円)の懸賞金を懸けている。国連(UN)とアフリカ連合(African Union)の特使が20日、同司令官が重病を理由に投降を希望していることを示唆する情報があったと発表しており、ジョトディア氏の発言はこれを裏付けるものとみられる。

 コニー司令官と神の抵抗軍はかつてウガンダ北部でヨウェリ・カグタ・ムセベニ(Yoweri Kaguta Museveni)政権に対抗していたが、近年では制圧されたLRAに残った戦闘員が主に近隣諸国で強盗やレイプ、虐殺行為に及び、アフリカでも最も追跡困難な中央アフリカやコンゴ民主共和国(旧ザイール)、南スーダンの国境付近に潜伏して逮捕を免れてきていた。世界で最も残虐な武装集団の1つが消滅しつつあるという期待の声が聞かれる一方で、ジョトディア大統領は地元のサンゴ語で油断は禁物だと警告している。

■米には懐疑的な見方も

 この報道について、匿名を条件にAFPの取材に応じたある米政府高官は21日、ジョトディア大統領と交渉中とされるのは中央アフリカ南部の辺地にいるわずか12~13人の戦闘員とその家族で、そのグループは大半のLRAの声を代弁しており、自分たちが投降すれば同司令官を含む他のメンバーも降伏するかのような口ぶりをしているものの、「少なくとも現時点では、ジョゼフ・コニー本人が関与していると信じるに足る理由がない」と強調、懐疑的な見方を示した。(c)AFP