【11月11日 AFP】スーダンの南ダルフール(South Darfur)州の広域で10日、アラブ系部族の民兵同士が衝突し、ロケット弾や迫撃砲、重機関銃などを使った激しい戦闘が起きた。双方の部族の情報筋が明らかにした。死者数などはまだ分かっていないが、ダルフール(Darfur)地方では今年に入って部族間抗争が激化しており、既に数百人が犠牲となっている。

 情報筋によると今回の衝突は、タイシャ(Taisha)とサラマット(Salamat)という2つの部族の土地争いがきっかけ。タイシャの情報筋は「戦闘は広域に拡大し、双方が重火器を使用している」と述べた。

 サラマットの情報筋も、10日夜になっても戦闘が続いていると証言した。衝突はラハドエルベルディ(Rahad el Berdi)付近で始まり、ダルフール最大の都市ニャラ(Nyala)にまで迫っているという。ラハドエルベルディはニャラの約100キロメートル南西に位置する。

 タイシャの情報筋によれば、戦闘に加わっていない集団が複数の村で略奪を行っているのを目撃したという。一方、サラマット側も略奪が起きていることを確認したと語った。

■抗争激化の背景にスーダン政府の財政難

 サラマットは今年4月以降、タイシャの同盟部族ミッセリア(Misseriya)とダルフール南西部で散発的に戦闘を繰り返してきた。国連(UN)によると、10月27日にはミッセリアとサラマットがラハドエルベルディ北西のムクジャル(Mukjar)近郊で衝突し、20人以上が死亡している。

 ダルフール地方では今年に入って治安が悪化しているが、主な原因はアラブ系部族同士の抗争だ。専門家によると財政難に陥ったスーダン政府が、かつて同盟関係にあったアラブ系各部族を統率する力を失った結果、部族間で資源をめぐる抗争が激化したのだという。

 スーダンのイブラヒム・モハメド・ハミド(Ibrahim Mahmoud Hamed)内相によれば、ニャラ南東部のギライダ(Girayda)地区では、スーダン政府の車列が「武装集団」に襲撃され、治安部隊の隊員21人が死傷する事件も発生したという。(c)AFP