【11月5日 AFP】イスラム教徒が多数を占めるスーダンで、髪を覆うスカーフ「ヒジャブ」の着用を拒否した女性が、「わいせつ」な格好をしたとして訴追された。女性は4日に出廷したが、同事案は今のところ「宙に浮いた」状態となっている。

 被告のアミラ・オスマン・ハメド(Amira Osman Hamed)さんは、オマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)現大統領が1989年に無血クーデターで実権を掌握した後に施行された、道徳に関する法律に違反したとして訴追され、有罪が確定すれば、むち打ちの刑に処せられる可能性がある。

 首都ハルツーム(Khartoum)近郊ジュベルアウリヤ(Jebel Aulia)の裁判所に4日出廷したハメドさんとその弁護人はAFPの取材に、被告側は9月に訴追の取り下げを求めたが、検察側はいまだ検討中だと明かした。

 ハメドさんによると、裁判所は、検察側がさらなる審問のための書類を送付するか、起訴見送りとするか決定するのを待っている状況だという。次の出廷日も決められていない。ハメドさんは「(検察は)この件をしばらく終わらせず、都合の良い時に利用するつもりなんでしょう」と話している。

 スーダンの法律は、全ての女性にヒジャブで髪を覆うことを義務付けている。だがハメドさんは、スーダン政府が女性たちを「まるでタリバン(Taliban)の女性のようにさせたがっている」として、これを拒否している。

 ハメドさんの一件は海外メディアの注目を集め、人権団体や活動家らからは支援の申し出が寄せられている。

 ハメドさんは8月、ジュベルアウリヤの政府庁舎を訪れた際、髪を覆うようにとの警察の命令を拒否して訴追されたという。

 スーダンでは2009年、女性記者のルブナ・フセイン(Lubna Ahmed al-Hussein)さんがズボンをはいたために罰金を受け、その支払いを拒否した事件が、国際社会の批判を浴びた。フセインさんは1日収監された後で釈放されたが、フセインさんと共にズボンをはいて飲食店を訪れ逮捕された女性たちは、むち打ち刑を受けている。(c)AFP