【10月30日 AFP】ギリシャにある少数民族ロマの居住キャンプで血縁関係のない夫婦と暮らしているところを発見され、DNA鑑定でブルガリアのロマの夫婦の実子であることが明らかになったマリアちゃん(4)について、ブルガリア当局は29日、ギリシャ当局に身柄の引き渡しを求める方針を示した。

 ブルガリア当局は「国の子ども保護当局がマリアちゃんの帰国のために必要な行動をとる。マリアちゃんがニコラエボ(Nikolaevo)に暮らすサーシャ・ルセバ(Sasha Ruseva)さんとアタナス・ルセフ(Atanas Rusev)さんの子どもで間違いないことは証明されている」と声明で述べた。

 金髪のマリアちゃんは、ギリシャのファルサラ(Farsala)のロマの夫婦のもとで暮らしているところを発見され、世界的なニュースとなった。マリアちゃんは現在、アテネ(Athens)を拠点とする慈善団体スマイル・オブ・チャイルド(mile of the Child)に保護されている。

 同団体によると、マリアちゃんがブルガリアに戻されるかどうかはギリシャ当局の判断次第だという。

■ギリシャ夫婦も養育継続希望、ブルガリアに戻れば施設か養子へ

 マリアちゃんは当初、誘拐された白人の子どもだとみられていた。だがDNA検査の結果、ルセフ夫婦の子どもであることが判明した。夫婦は貧困のため、2009年に生後7か月のマリアちゃんをギリシャで手放したことを認めている。

 マリアちゃんを売った疑いで取り調べを受けている母親のルセバさんは、金銭を受け取っていないとして容疑を否認しており、マリアちゃんを取り戻したいと述べているという。

 一方、マリアちゃんを誘拐したとして起訴され、勾留中のギリシャのロマの夫婦も、マリアちゃんを育て続けたいと語っている。

 だが、仮にマリアちゃんがブルガリアに戻されたとしても、マリアちゃんはルセフ夫婦と一緒に暮らすことはなく、支援施設で育てられるか養子縁組を行うことになると、ブルガリアの児童当局は述べている。(c)AFP