【10月27日 AFP】ギリシャの少数民族ロマの居住キャンプで血縁関係のない夫婦と暮らしているのが発見され、当初は西ヨーロッパから誘拐されたと考えられていた少女マリアちゃんのブルガリアに住む家族が、マリアちゃんを引き取りたいと話していることが分かった。

 マリアちゃんの長姉、カティア・ルセバ(Katia Ruseva)さん(20)は26日、夫と2人の子供と一緒に暮らすブルガリア中部のGurkovoで、「マリアを返して!あの子を家に連れ戻して私たちのパンを分け与えたい」と話した。

 金髪と緑の瞳を持つマリアちゃんは今月16日に発見されて以降、その姿が世界中のテレビ画面に映し出され、行方不明になっている子供がいるヨーロッパ人の両親たちにとって象徴的な存在になっていた。

 しかし、遺伝子検査によって「金髪の天使」の両親がブルガリア中部の極貧地帯に住むロマの夫婦であることが確認されたと25日に発表された。

 この事件でロマに対する根強い偏見が露呈し、人身売買の捜査が再開されたが、カティアさんは両親がマリアちゃんを売ったことを否定している。

「両親がギリシャに働きに行っている間、私はよく8人の弟や妹たちの世話をしていました。ある日ギリシャから戻った母親が、赤ちゃんをあちらに残してきたと言いました。赤ちゃんのパスポートに払うお金がなかったからと」

 一方、ブルガリア中部ニコラエボ(Nikolaevo)で暮らすマリアちゃんの両親、サーシャ・ルセバ(Sasha Ruseva)さんとアタナス・ルセフ(Atanas Rusev)さんは、25日朝から3人の子供を連れて行方不明になっている。

 警察によると、両親らはまだ国内におり、逮捕はされていないという。マリアちゃんの母親、ルセバさんは以前、ブルガリアのメディアに対して、遺伝子検査で実の娘であることが分かればマリアちゃんを取り戻したいと話していた。しかしルセバさんは、2009年に当時生後7か月だったマリアちゃんを売った疑いが浮上し、警察の捜査対象になっていた。(c)AFP/Vessela SERGUEVA