【8月12日 AFP】治安が悪化しているスーダン・ダルフール(Darfur)地方で11日、100人が死亡した前日の暴動に続き、対立関係にあるアラブ系の部族同士が再び衝突し、一帯は混乱状態に陥っている。

 10日に始まった戦闘は、リゼイガト(Rezeigat)人とマアリア(Maaliya)人によるもので、ダルフール南東部のアディラ(Adila)地域で起きた。

 匿名で取材に答えたあるリゼイガト人は、11日に入って「(衝突は)多くの地域に広がっている」と語った。また、マアリア人の住民も戦闘が起きているのは確かだと語り、ダルフール最大の都市ニャラ(Nyala)のある医師はAFPに対し、負傷したマアリア人が搬送されて来ていると語った。

 正確な死者数は定かでないがリゼイガトの人々は、10日の戦闘で味方側に30人、マアリア人側に70人の死者が出たと話している。

 今年に入り、ダルフール地方ではさまざまな部族間で衝突や戦闘が相次いでいる。国連・アフリカ連合ダルフール合同活動(UNAMID)によれば、5月までに推計30万人が居住地からの避難を余儀なくされている。ただし、これまでそうした衝突が起きていたのは主にダルフール北部と西部で、東部では比較的、暴動はなかった。ダルフール地方では約10年前に、アラブ系のエリートたちが国の権力と富を独占していると考える非アラブ系の民族が反乱を開始した。

 観測筋は、最近のダルフール情勢について、ここ10年の衝突における力関係の変化を反映したものであると指摘。またスーダン政府と軍に支援されていたアラブ系民兵組織「ジャンジャウィード(Janjaweed)」に対する政府の制御が効かなくなっていると付け加えた。これまで部族間の衝突は、土地や水、鉱物といった資源をめぐって起こってきた。

 状況の変化を受け、国連安全保障理事会(UN Security Council)は前月、全力で衝突の抑止に努めていないとの批判を受けているUNAMIDについての見直しを求めた。(c)AFP