【3月24日 AFP】キリスト教の「四旬節(Lent)」に魚を食べるのに飽きた中米ニカラグア(Nicaragua)のカトリック信徒らたちはイグアナやアルマジロを煮込んだスープや、雄牛のほぼ丸ごとの睾丸(こうがん)に舌鼓を打つことができる。

 こうした料理は復活祭(Easter)前に食べる「肉抜き」のメニューで使われる。強精効果もあるとされているため、年配の男性に人気だ。

 スペイン語でガロボ(garrobo)と呼ばれているイグアナを市場で2匹調達したマヌエル・サモラ(Manuel Zamora)さんは「(イグアナは)本当においしい。これは伝統料理だ」と熱っぽく語った。イグアナの肉と卵を、ひいて焼いたコーンミールや野菜と一緒に煮込んだスープは広く好まれている。
 
 居住先のコスタリカ(Costa Rica)から里帰り中のニカラグア人ペドロ・エスピノザ(Pedro Espinoza)さんは、「イグアナは味がいい。小さな卵は絶品だよ」と称賛した。法律では9月から翌年4月までの繁殖期にガロボを捕獲してはならないことになっているが、ガロボへの需要は強く、市場には大量の生きたガロボが運び込まれている。

 人気が特に高いのは、男性能力の向上効果をうたった「Levanta Muerto(死人を起こす)」と銘打ったスープだ。活力と精力を強化し、脳に栄養を与えるとされている。材料は黒くトゲがあるイグアナの肉と脳と骨髄、雄牛の睾丸で、貝を入れる場合もある。

 年配の男性や会社員に受けが良いこのスープのファンだというホセ・コルドバ(Jose Cordoba)さんは、「牛の睾丸はうまい」と語る。所得水準が著しく低いニカラグアの大西洋沿岸部では、カメの肉を魚や牛肉、ココナツミルク、野菜と一緒に煮込んだスープも一般的だ。

 環境保護団体Amarteの幹部であるエンリケ・リムバウド(Enrique Rimbaud)さんは、こうした動物を犠牲にするのは残念なことだとコメント。絶滅の危機に瀕した動物187種を、国家遺産の一部として保護する法律の制定を議会に促すため、署名活動を行っている。(c)AFP/Blanca Morel