【3月18日 AFP】中国・上海(Shanghai)市内を流れる黄浦江(Huangpu River)でブタの死骸が大量に見つかっている問題で、国営メディアは18日、回収された死骸が計1万3000匹を超えたと報じた。一方、死骸の「出所」をめぐっては謎が深まっている。

 上海市の飲料水源の22%を担う黄浦江にブタの死骸が流れてくるようになったのは、今月初めのこと。上海日報(Shanghai Daily)によると、上海市当局はこれまでに9460匹のブタの死骸を引き上げたとし、新華社通信(Xinhua)も隣接する浙江(Zhejiang)省でさらに3601匹が回収されたと伝えている。

 上海当局は、上流の浙江省嘉興市(Jiaxing)にある養豚場が病気で死んだブタを川に投棄したと非難しているが、嘉興市当局は同市内で死骸を投棄した可能性がある養豚場は1か所しか見つかっていないとして、他地域でも投棄が行われているのではと述べた。

 上海日報によると、上海市当局では最初にブタの死骸が見つかった市南西部の松江(Songjiang)区にある養豚場を調査したが、投棄の証拠は見つからなかったという。

 中国農業省の主任獣医師、于康震(Yu Kangzhen)氏は、今回の事件の背景には養豚業者が法律に疎いことや、制度不備に基づく行動規範の欠如、さらには行政側の管理不行き届きなどがあると指摘。また今春は例年より寒冷なため死亡するブタが多いと述べ、疫病のまん延については否定的な見方を示した。

 ブタは中国国内での主要な食材であるために、事件をめぐっては食の安全への懸念が広がっている。中国では病気で死んだ家畜の肉が流通したり、法律を無視した形で廃棄されることがあり、死骸が大量に回収された今回の問題では、畜産物規制が守られていない現状が露呈した。

 浙江省温嶺(Wenling)市では先週、死んだブタ1000匹を食肉加工したとして46人が有罪となり、最長で禁錮6年6月の判決が下された。(c)AFP