【12月3日 AFP】(一部更新)山梨県大月市と甲州市にまたがる中央自動車道上り線の笹子トンネル(Sasago tunnel)で2日午前8時ごろ、天井のコンクリートパネルが約110メートルにわたって崩落した。警察は3台の車がコンクリートパネルの下敷きになり、合わせて9人が死亡したと発表した。時事通信(Jiji Press)と共同通信(Kyodo News)が報じた。

 3日未明までにワゴン車から男性3人と女性2人の5人の焼死体が見つかった。また運転していた保冷車から運び出された中川達也(Tatsuya Nakagawa)さん(50)も搬送先の病院で死亡が確認された。さらに別の乗用車に乗っていた男性1人と女性2人の3人の高齢者の死亡も確認された。

■救助活動は一時中断の後再開

 目撃者は、少なくとも1台の車が火災を起こし、何も見えなくなるほどの煙が出たと語った。救助活動は煙に阻まれて難航し、2次災害の恐れがあるとして一時中断された。

 専門家の一群が危険性を評価する間、現場に来ていた警察は最初の死者を確認した。ある警察官は、車の中に黒こげになった遺体のようなものを目視で確認したが、まだ運び出して詳しく調べてはいない、とAFPに語った。

■目撃者が恐怖を語る

 数十人が車を捨てて非常口や厳しい冬の寒さに見舞われていたトンネルの外に向かった。トンネルから逃れた男性は時事通信に、前を走っていた車の上にコンクリートパネルが落ちて、がれきの山ができたのを目撃したときの恐怖を語った。積み上がったがれきから必死に助けを求める声が聞こえ、服が破れた若い女性が出てきたという。

 男性はその女性に車に何人乗っていたのかと聞いたところ、女性は震えが止まらないまま、友人らと自分のボーイフレンドが乗っているのでどうか助けてほしい、と語ったという。しかし火の勢いが強すぎた。

■金具の劣化が原因か

 午後遅い時間になって公開されたトンネル内の監視カメラの映像によると、コンクリートパネルがV字型に落ちており、中央部から崩落したことをうかがわせた。

 谷本親伯(Chikaosa Tanimoto)大阪大学(Osaka University)名誉教授(トンネル工学)はNHKに、コンクリートパネルをつり下げているトンネルの中央部の金具が、地震や通行する車両の振動で劣化したのではないかという見方を示した。

 中央道を運営する中日本高速道路(Central Nippon Expressway CompanyNEXCO Central)のある職員は、材質の劣化も原因の可能性があると述べ、さらに崩落が起きる恐れもあると述べた。また別の職員は、5年に1度の天井の定期点検を9月に行っていたと述べた。(c)AFP/Harumi Ozawa