【4月7日 AFP】アフリカ南部マラウイのビング・ワ・ムタリカ(Bingu wa Mutharika)大統領(78)が5日、心臓発作のため死去した。同国政府筋や医療関係者が6日、明らかにした。

 ムタリカ大統領の死去を受け、水面下で大統領が率いた与党と副大統領周辺との権力闘争に火がつくとの懸念が生じている。

 大統領死去からまる1日、米国が弔意を示しつつ権力移譲の遅れに懸念を表明した後になっても、マラウイの国営メディアは大統領が南アフリカで治療を受けていると強調していた。しかし、大統領死去のニュースは民間や外国のメディア、SNSなどを通じて同国国民にもれ伝わった。

 6日、AFPの取材に匿名で応じた政府関係者は「大統領は昨日死去し、遺体は葬儀の準備として防腐処置を施すために南アフリカへ送られた。後に公式発表があるだろう」と語った。

 しかし、政府が大統領の死を発表しようとしないことから、マラウイ国内に政治的危機が生じているとの懸念が持ち上がっている。

 同国憲法では大統領が死去した場合、直ちに副大統領が就任するものと定めているが、ジョイス・バンダ(Joyce Banda)副大統領は、2010年にムタリカ大統領が自分の弟のピーター・ムタリカ氏を後継に指名した際に反対し、与党の民主進歩党(Democratic Progressive Party)から除名されている。バンダ氏はその後、新たに人民党(People's Party)を結成している。

 ある与党関係者は、与党はバンダ氏を政権から遠ざけておきたい考えで、遺体を南アフリカへ送って防腐処理を施しているのは時間稼ぎのためだと語った。(c)AFP