【2月17日 AFP】中米ホンジュラス・コマヤグア(Comayagua)の刑務所で14日夜発生した火災による死者は355人に上った。刑務所で起きた火災としては世界で最悪とみられている。

 犠牲者の身元確認が進められる中、受刑者が収監されたまま焼死したり、避難しようとして銃撃されたりしたと証言する人たちが現れ、遺族の間で当局に対する怒りの声が上がっている。

■「看守が受刑者を銃撃」という証言も

 収監中の夫を火災で亡くした女性は、「看守が門を開けていれば死なずに済んだはず。これは犯罪だ。当局は機能していない」と憤る。3児の父である夫は、誘拐の罪で5年間の刑期をつとめていた。

 さらに、火災から避難できた受刑者を、看守が銃撃し始めたという証言も広がっている。殺人の罪で服役中の夫が銃殺されたという女性は、「生き残った受刑者が、夫は火災から避難したものの看守に撃たれ、火の中に投げ込まれたと証言した」と語った。

 警察当局は、当局の過失による死亡を否定しているが、看守は監房のドアや門を開けることを渋ったと指摘する消防隊員もいる。

■収容人数大幅に超える

 ホンジュラスを含め、中南米の刑務所は収監人数が定員を超えていることで悪名高い。ホンジュラスの全国24か所の刑務所の合計定員は8000人だが、現在1万3000人が収監されている。コマヤグアの刑務所には当時、定員の約2倍の852人が収監されていた。

 当局は当初、漏電が原因とみていたが、いまのところ出火原因は不明としている。コマヤグア州知事はAFPの取材に対し、受刑者を名乗る者から電話があり、ある受刑者が自殺を図って放火したと話したと述べている。同国の治安相はAFPに対し、死亡者の身元の確認にはさらに時間がかかると語った。(c)AFP/Noe Leiva

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