【1月20日 AFP】イタリア中部ジリオ(Giglio)島沖でクルーズ船「コスタ・コンコルディア(Costa Concordia)号」が座礁した事故で、業務上過失致死などの容疑がかけられているフランチェスコ・スケッティーノ(Francesco Schettino)船長を擁護する「証人」の女性が現れた。

 事故当時、スケッティーノ船長と一緒にいたと名乗り出たのは、モルドバとルーマニアの二重国籍を持つバレリーナのドミニカ・チョモルタン(Domnica Cemortan)さん(25)。モルドバの首都キシニョフ(Chisinau)でAFPの取材に応じ、事故当時は食堂で友人と夕食をとっていたと証言した。

 そして、スケッティーノ船長も船長甲板で飲酒していたという疑惑について「船長に対する容疑は、全くの見当違いです」と否定し、「船長は、あの会社(コスタ・クルーズ)の中でも最高の船長。あらゆる手を尽くして乗客の命を救った。彼は英雄です。乗員も皆プロらしく働き、乗客を救った」と述べた。

 19日の伊メディアの報道によると捜査当局は、チョモルタンさんが事故当時、スケッティーノ船長と共にいて、その後、船長甲板に上がったと述べているため、事情聴取を求めている。コスタ・コンコルディア号の乗員・乗客リストにチョモルタンさんの名はなく、伊メディアはチョモルタンさんがスケッティーノ船長の「個人的な招待客」だったのではないかと伝えている。

 チョモルタンさんは、コスタ・クルーズ(Costa Cruises)社が運行する他のクルーズ船に勤務した経験があり、コスタ・コンコルディア号に乗船したのは25歳の誕生日を友人と祝うためだったと述べている。

 チョモルタンさんは避難するために、夜11時50分ごろに船から飛び降りて脱出したときに、まだ甲板で作業するスケッティーノ船長を見たと証言している。

 また乗員に頼まれて、チョモルタンさんも乗客への避難指示をロシア語に通訳するなど救援活動を手伝ったと話している。(c)AFP