【8月18日 AFP】ブルガリアの首都ソフィア(Sofia)で、地下鉄の拡張工事中に古代ローマ時代の本格的な遺跡が見つかり、発掘場所を博物館にする計画が進んでいる。

 考古学者らは、石を敷き詰めた大通り、公衆浴場、高位の人物の住居、バシリカ教会の弓なりの壁などを少しずつ発掘している。全て4世紀頃の遺跡だ。

 作業が順調に進めば、遺跡は巨大な地下博物館として整備され、2012年後半の開館が見込まれている。発掘作業の担当者によれば、発掘は1か月半後に終了し、その後は保存作業に入るという。

 古代ローマの遺物は以前からソフィア各地で発掘されている。大統領官邸の中庭では、保存状態の良い教会や宮殿の遺跡が見つかっており、人気の観光スポットとなっている。

■遺跡発見のたびに地下鉄路線図を変更

 現在行われている発掘作業は以前行われていたものの延長で、当時ウルピア・セルディカ(Ulpia Serdica)と呼ばれていた古代ローマの街の姿が徐々に明らかになっている。数千年にわたり欧州とアジアの重要な交流拠点となったこの街の遺跡は、官庁街の真下まで広がっている。

 発掘作業は、新たな地下鉄線の工事を始めるにあたり、昨年開始された。Yordanka Fandakovaソフィア市長は、考古学者が地層をはがし新たな遺物を発掘するたびに、路線図を描き変える必要があったと語った。

 その苦労が報われることになる。市長によれば、「ソフィアに、1万9000平方メートルの敷地の地下博物館を併設した、欧州で最も美しい最新の地下鉄駅ができる」という。

 発掘費用は、欧州連合(EU)の地域開発事業から1600万レフ(約9億円)の資金提供を受けている。

■司教の住居や公衆浴場を発掘

 作業が進むにつれ、発掘のために一旦は壊された2本の大通りの一部が、発掘現場の上に再建された。その下で行われる古代ローマ時代の大通りDecomanus Maximusの発掘作業をスムーズ行うためだ。

 また、遺跡は地上から巨大なガラス製のドームを通して見ることができる。

 大通りのほか、中庭や浴室が完全な形で残った司教のものとみられる住居や、富裕層が使用していたと思われる浴場なども見つかっている。

 さらに、ある場所を深く掘ってみたところ、2世紀中頃のレンガの家や1世紀頃の住居の木造部分も発掘された。
 
 博物館が完成すれば、来場者は遺跡に触れることもできるという。(c)AFP/Diana Simeonova