【8月8日 AFP】(一部更新、写真追加)来日した国連の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長が8日、福島県の避難所と高校を訪れ、「頑張ってください」と東日本大震災の被災者らを激励した。

 前日7日に来日した潘事務総長はこの日、福島県の佐藤雄平(Yuhei Sato)知事と会談し「福島県と、とりわけ被災された方々に対し、私個人と国連の連帯の意を示すために来た」と挨拶。「特に、福島第1原子力発電所の事故はわれわれに大きな教訓となった」、「安全性と、このような非常事態に対応する能力・手段を向上させるため、慎重に見直す必要がある」などと述べた。

 佐藤知事は会談で、震災から5か月が経過するなか福島県民は必死に復興をめざしていると述べ、国連は福島を心に留めて協力して欲しいと潘事務総長に要請した。

 その後、潘事務総長は夫人とともに、南相馬(Minamisoma)市や福島原発から20キロ圏内に自宅があるため強制退去を迫られた被災者ら300人余りが生活する福島市内の避難所を訪問。「力を合わせて頑張ってください」などと、日本語で励ましの言葉をかけた。

 県立福島南高校(Fukushima Minami High School)では、高校生約100人を前に「皆さんには、世界と国連がついています」と激励した。

 続いて潘事務総長は、津波で甚大な被害を受けた相馬(Soma)市の原釜(Haragama)地区などを視察。土台だけとなった住宅や破壊された車、流されてきた魚網などが残る被災地を、立谷秀清(Hidekiyo Tachiya)相馬市長の案内で歩き、立ち止まって黙祷をささげた。

 その後、「破壊のすさまじさと多くの人々が亡くなった悲しみに衝撃を受けた。しかし、皆さんは強さと、乗り越えようという固い決意を世界に示している」と感想を述べた。

 潘事務総長は同日中に東京に移動し、菅直人(Naoto Kan)首相、松本剛明(Takeaki Matsumoto)外相と会談する。(c)AFP/Harumi Ozawa