【3月17日 AFP】東北地方太平洋沖地震で被害を受けた福島第1原発について、東京電力は17日、冷却装置を再稼働してメルトダウン(炉心溶融)を防ぐべく、電源復旧作業を全力で行っている。

 第1原発では、11日の大地震と津波で電源とバックアップ用発電機が使用不能になり、原子炉内の温度が急上昇。冷却水の蒸発に伴い燃料棒が露出し始め、水素ガス、そして恐らくは放射性物質を放出した。現在、メルトダウンへの危機感が高まっている。

 東京電力は現在、新たな送電線を結んで外部から電力を供給する作業に全力を注いでいる。広報によると、電源が復旧されれば各種の電気ポンプが再稼働し、原子炉と使用済み燃料貯蔵プールに注水できるようになるという。

 特に使用済み燃料貯蔵プールについては、冷却するための水が緊急に必要とされている。プールは原子炉と違い、格納容器で覆われていない。

 報道によると、約70人の作業員はこれまで、原子炉冷却用の海水の注水作業に消防ポンプを使用してきた。

 なお、陸上自衛隊のヘリコプターは16日、上空から燃料棒に海水の散布を行う予定だったが、原子炉上空の放射線量が多いことなどから断念した。

■IAEA天野事務局長訪日へ

 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥(Yukiya Amano)事務局長は16日、第1原発の状況は「極めて深刻」だとして、状況把握のため訪日する意向を明らかにした。(c)AFP/Hiroshi Hiyama