【2月27日 AFP】反体制デモに端を発した混乱が続くリビアでは26日も、多数の外国人労働者が陸海空路で国外に脱出した。

 英国はリビアに軍用機を派遣し、砂漠のキャンプにいた150人以上の英国人を避難させたほか、軍艦やチャーターした中国のフェリーでこれまでに2500人を地中海のマルタに運んだ。

 207人の脱出者を乗せて24日にリビア北東部のベンガジ(Benghazi)を出港した英国のフリゲート艦カンバーランド(HMS Cumberland)は、地中海が荒れていたためようやく26日になって到着した。

 同じ26日には、2216人の中国人を乗せてベンガジを出港したフェリーもマルタに到着した。中国に帰国する航空機が到着するまで船内にとどまるという。26日には3000人近くの中国人がギリシャのクレタ(Crete)島に上陸し、中国政府はリビアにいた3万3000人の中国人のうち、これまでに1万6000人が出国したとしている。

 中国民間航空事業団(Civil Aviation Administration of China)は中国人の帰国を加速するため、今後2週間は毎日航空機15機を送る方針。

■救出が遅いとの批判も

 英国では、砂漠のキャンプから動けなくなった約170人いたとみられる石油作業員の救出が遅れたとして、政府に対する批判が出ている。キャンプは略奪を受ける危険があったほか、水や食料の蓄えもなくなりつつあったという。

 イタリアも約245人の避難民を乗せてリビアのミスラタ(Misrata)港を出た同国の軍艦1隻が、27日にシチリア(Sicily)島に到着する予定だと発表した。

 チュニジア当局者によると、リビア在留外国人の脱出が始まった1週間前からリビアとの国境に近いチュニジアのラスジェディル(Ras Jedir)に逃れてきた人は3万8000人を超えた。国籍別の内訳は、チュニジア人が1万8000人、エジプト人が1万5000人、リビア人と中国人がそれぞれ2500人で、その多くが家政婦や建設・石油関連の作業員として働いていた人だという。

 このほかにエジプト、イラク、シリア国籍の、合わせて数百人がサハラ砂漠を越えてリビアからアルジェリアに入った。アルジェリア国営のアルジェリア通信(APS)は26日、航空機2便で合わせて500人近くのアルジェリア人がリビアから帰国し、これまでにリビアから帰国したアルジェリア人は約2300人になったと報じた。うち200人は陸路で帰国したという。

 石油産業に大規模な投資が行われたリビアには、バングラデシュ、中国、エジプト、インド、ナイジェリア、フィリピン、韓国などからも大勢の人が行っていた。

 26日夜には、リビアにいた約1万8000人のインド人のうち約300人が国営エア・インディア(Air India)の航空機でニューデリー(New Delhi)に到着し、ニルパマ・ラオ(Nirupama Rao)外務次官の出迎えを受けた。リビアからインド人が帰国したのは今回の混乱が始まってからでは初めて。

 バングラデシュでは首都ダッカ(Dhaka)の北東にある主要な幹線道路で、リビアから出られなくなっている人の家族ら数百人が、政府の救出活動が遅いとして幹線道路をふさいで抗議した。約6万人のバングラデシュ人がリビアから出られなくなっていると推定されている。(c)AFP/Matthew Xuereb