【1月11日 AFP】スーダン南部の分離独立の是非を問う住民投票は10日、投票2日目を迎えた。南部の主要都市ジュバ(Juba)では、初日と同様に投票所前には夜明け前から多くの人びとが列をつくった。

 投票は15日までの7日間にわたって行われる。2005年の包括和平合意で住民投票が有効となるには60%以上の投票率が必要と定められているが、これまでの有権者の出足から投票率が60%を超えるのは確実な情勢だ。

■高投票率は確実、だが衝突も

 だが、北部との境界に近いアビエイ(Abyei)では7日から、北部系のミッセリア(Misseriya)民族と南部系のゴク・ディンカ(Dinka)民族の武力衝突が続いている。これまでに合わせて33人が死亡するなど双方に死傷者が出ており、投票の妨げになっている。

 当初、アビエイでは分離独立の住民投票とは別に、アビエイの帰属先を問う独自の住民投票が実施されることになっていたが、武装衝突の緊張が高まり、無期限で延期となっている。
 
 アビエイの治安維持は、国連軍とスーダン北部、南部の特別合同部隊が担っており、北部政府軍と南部自治政府軍の立ち入りは禁止されている。だが、アビエイからの情報によると、南部自治政府は警察官の制服を着せた兵士をアビエイに送り込み、ミッセリアの戦闘員と衝突を起こしているという。

 このほか北部との境界に近く、石油資源のあるユニティ(Unity)州では、激しい戦闘で8日までの2日間で6人が死亡したため一部の地域で9日の投票が停止されたほか、10日にも親アラブ派の2人が南部の兵士によって殺害された。

■教会から投票所に直行

 だが、その他の都市では概ねジュバ同様に、人びとが投票所前で長蛇の列を作っている。

 西バハル・アルガザール(Western Bahr al-Ghazal)州、レイク(Lakes)州でも投票は順調に進んでおり、あまりに列が長いため、投票の順番がくる前に投票所が閉まってしまうとの苦情が寄せられるほどだという。

 キリスト教徒が多数を占めるジュバでは、9日は日曜の礼拝に参列したために投票に出遅れてしまった人びとも多く、翌日は礼拝に参列した服装のままの投票所に訪れた人びとの姿も見られた。

 住民投票の登録者は393万人で、このうち約375万人が南部の住民だ。最終的な投票結果は今月30日以降に発表されるが、個々の投票所では15日から開票結果の発表を始めるという。内戦で傷つき、舗装道路がわずか40キロしかないスーダン南部の各地に散らばる投票所から投票箱を回収する作業は容易ではなく、集計に時間がかかるのは避けられない。(c)AFP/Steve Kirby