【10月27日 AFP】国際自然保護連合(International Union for the Conservation of Nature and Natural ResourcesIUCN)が27日、世界の脊椎(せきつい)動物の5種に1種が絶滅の危機にあるが、保護活動が功を奏して絶滅速度が減速しつつあるとする調査結果を発表した。

 それによると、世界のほ乳類、鳥類、両生類、は虫類、魚類の危機的な減少傾向の最大の要因は、生息地の破壊だ。農地拡大、森林伐採、狩猟という典型的な絶滅リスクが最も顕著に見られるのは東南アジアだという。 

 調査の対象となったのは、IUCNの「レッドリスト(Red List)」に絶滅危ぐ種として掲載されている2万5000種で、世界各国の科学者174人が調査に参加した。調査では、脊椎動物の減少率を初めて世界規模で数量化した。

 IUCNは、名古屋で開催中の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で、この問題への対応を強めるよう呼びかけた。会議に出席する科学者らは、人間による自然破壊がもたらす動植物種の絶滅の速度は、人間の影響がない場合に比べて1000倍も速いと警告を発している。IUCNは前年、地球の歴史において6回目となる生物大量絶滅が今現在起きているとする報告書を発表した。ちなみに前回の大量絶滅が起きたのは、恐竜が絶滅した6500万年前だ。

 今回発表された調査結果は、絶滅危ぐ種の保護活動がなければ、脊椎動物の絶滅・減少率は現在よりも20%悪化していたはずだとしている。(c)AFP