【7月18日 AFP】ハイチで25万人以上が亡くなり、150万人が家を失った1月12日の大地震が発生してから半年が過ぎた。聖地とされる丘で2週間にわたって行われるブードゥー教の年中行事が始まり、集まった多くの人びとが、避難生活が早く終わるよう祈りを捧げた。

 ハイチ中央部の高地にある街ソー・ドー(Saut d'Eau)では約200年前から毎年、儀式が行われている。信仰心の厚い人びとは白い服を着て丘を登り、滝で身を清めて祈りに参加する。

 1847年にカトリックの聖人、カルメル山の聖母(Our Lady of Mount Carmel)が、この丘にあるヤシの木の近くに現れたと言い伝えられている。聖人の出現によって巡礼者が押し寄せることを心配したカトリックの神父はヤシの木を切り倒したが、時すでに遅く、以来1年に1回、多いときは2万人もの人が巡礼に訪れている。

 ハイチではカトリックと並んでブードゥー教が公式に国の宗教として認められており、国民の半数以上がなんらかの形でブードゥー教信仰を実践しているとみられる。この行事のようにカトリックの信仰と融合したものも多い。

 祭りは16日に最高潮を迎えたが、今年の人出は例年より少ない。首都ポルトープランス(Port-au-Prince)で大地震に見舞われた多くの人は、聖地に行く余裕がないのだ。

 それでも、行事に参加したキリスト教の聖母マリア(Virgin Mary)に相当するブードゥー教の滝の精エルズリー(Erzulie)に新しい家が見つかるよう祈っていた。(c)AFP/Alice Speri

【関連記事】ハイチ大地震から半年、祈るブードゥー教の巡礼者たち