【2月13日 AFP】ハイチは12日、前月の大地震発生から1か月目を迎え、国内各地で追悼式典が行われた。伝統的な葬儀の色である黒と白の服で正装した大勢の人々が犠牲者に祈りを捧げた。

 震災以降あまり公の場に姿を見せなかったルネ・プレバル(Rene Preval)大統領はノートルダム大学(Notre Dame University)で行われた式典で、「このつらさを表現する言葉がない…ハイチは死なない。死んではならない」と語った。政府高官のほかブードゥーとカトリックの代表も出席したこの式典のもようは全国に放送された。

 政府は12日を服喪の日としたため、この日ポルトープランスの路上で聞こえたのは追悼式典の音だけだった。しかし式典会場に通じる道路は、徒歩、タクシー、バイクで会場に向かう人でいっぱいだった。

 急ごしらえのテントが集まるポルトープランス中心部のシャンドマルス(Champ de Mars)広場には夜明け前から被災者が集まり、追悼式典と抗議集会が一緒になったような式典が行われた。ある聖職者はマイクを握り「ハイチのすべての宗教、ブードゥー、カトリック、バプティスト、プロテスタントは、祈るためここに集まった。ハイチの人々は貧しいかもしれないが、神の愛と精神において世界一豊かだ」と語った。

 数千人の犠牲者が埋葬された首都近郊のティタネン(Titanyen)は静寂に包まれていたが、3人の男性が来ていた。1人はハイチの小さな国旗を手にしていた。「亡くなった人のために何かしたくてここに来たのです。僕たちはハイチ人ですから」と語った。

 この地震で約21万7000人が死亡し、子ども65万人を含む120万人が家を失ったと報じられている。国際社会は大規模な支援活動を展開しているが、震災から1か月たっても水などの基本的な物資の不足は深刻だ。

 11日には震災後初めて本格的な雨も降った。雨期に入れば、人口密度の高い避難キャンプで下痢などの病気が増えると援助団体は懸念している。避難キャンプはトイレが十分に整備されておらず、汚水が垂れ流しになっているところが多い。(c)AFP/Andrew Beatty and M.J. Smith