【1月31日 AFP】12日の大地震で壊滅的被害を受けたハイチでは、2月に豪雨が予想されている。ハイチ政府は、公衆衛生が大きな脅威にさらされる可能性を懸念し、野外に放り出された被災者たちを早急に適切な施設に収容するよう全力を尽くすと、アレックス・ラルセン(Alex Larsen)保健相が語った。

 ハイチの雨期は通常5月に始まるが、今年は2月中旬に激しい豪雨が予想されている。被害の大きかった首都ポルトープランス(Port-au-Prince)では、現在も公園などに密集して野営している被災者が最大100万人に上っており、この状態で大雨に見舞われれば、伝染病など衛生的な大惨事につながる可能性があると国連(UN)は警告している。

 ルネ・プレバル(Rene Preval)ハイチ大統領は前週初め、ホームレス状態にある被災者たちのためにテント約20万個分の支援を援助国に呼び掛けた。

 また食糧や飲料水の配給場所が定まっていないため、分配の公平性が保たれていないとして、国連世界食糧計画(World Food ProgramWFP)は31日から、首都圏で16か所の常設配給所を開設することにした。これにより移動式の配給による混乱の解消を目指す。

 新たに開設される配給所に立ち入りできるのは女性に限定され、食糧の受け取りには引換券が必要とされる。WFPの報道官によると、これまでの配給では集まった人びとが押し合い、危険な状態に陥ることが多く、女性や子どもは寄りつけない状態だった。

 またハイチ政府は、「地震以前になかった配給などのサービスに人びとが慣れすぎて、避難先から動かなくなっては問題だ」として、仮設キャンプが常設化する状態を避けていく方針だ。

■姿を見せない大統領に募る不信感

 30日、崩壊した大統領官邸で珍しく公に姿を見せたプレバル大統領は、たちまちのうちに官邸前に集まった人びとの怒声ややじに囲まれた。

 大統領に抗議しようと集まってきた若者たちのグループは、大統領を見かけると「プレバルは俺たちのために何もしていない」、「国民に話しかけてもいない」などと叫んだ。

 20歳のハービーさんは「大統領は若者に仕事を与えるべき。仕事がなかったら若者たちは何をするか分からない」と述べた。別の若者、ジョンさんは「大統領はせめて基本の食料品の値段を下げるべき。いつまでも援助が続くわけではないのだから」と怒りを込めて語った。(c)AFP/Alex Ogle