【1月17日 AFP】大地震で壊滅的な被害を受けたハイチに多くの国が緊急支援を行っているなか、大量に流入する支援物資のコントロールが当面の大きな課題になっている。

 援助活動は徐々に本格化しているが、地震発生から4日たっても水や食糧が被災者に行き渡っていない。支援を待つことを諦め、被害が大きかった首都ポルトープランス(Port-au-Prince)から脱出する人も相次いでいる。

■空港も被害、緊急課題は物流の調整

 米軍が管理下に置いた首都の国際空港は滑走路が1本しかなく、地震で管制塔も被害を受けた。1日に90回の離着陸が行われているが、これが限界だ。ハイチの当局者は空港での物流の調整に問題があることを認めており、支援国からも不満の声が上がっている。

 国際赤十字社・赤新月社連盟(International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies)の支援コーディネーターはAFPに対し、地震で空港の能力が大幅に低下したことによる物流の停滞が目下の最大の課題だと語った。

 支援物資の被災者への配給でも問題が生じている。米国際開発庁(US Agency for International Development USAID)関係者は記者団に、「物資を受け取るだけではなく、それらを速やかに被災者に届けることが重要だ。援助国やハイチ政府と密接に調整し、優先順位をつけていく必要がある。物資が確実に届くよう、被災地の治安確保も重要だ」と語った。

 米国などの支援国と非政府組織は、毎朝ミーティングを行い、14か所の配給ポイントで食糧を配っている。16日の昼までに米空母カールビンソン(USS Carl Vinson)から飛び立ったヘリコプターが16回にわたり、すぐに食べられる食品や水を運んだ。

■必死の救助活動続く

 必死の救助活動も続いている。米国からやってきた26の救助チームと400人を超える消防士が夜を徹して、がれきに埋まった被災者の救助活動にあたっている。大規模な救助活動は少なくとも17日までは続く予定だ。しかし1人の救助に12時間以上かかることもあり、米国救助隊が16日朝までに救出できたのはハイチ人と米国人の合わせて15人にとどまっている。

 13の国が医療チームを派遣し、各国が設けた5つの医療施設が稼働しているほか、米国の病院船コンフォート(USNS Comfort)も米メリーランド(Maryland)州ボルチモア(Baltimore)からハイチに向かっている。

 平時でも必ずしも治安が良いとは言えないポルトープランスでは、武器を使った略奪も発生し、市内のいたるところに腐敗が始まった遺体がみられる。疲れ切った被災者の間では怒りと絶望が広がりつつある。警察も機能していない。(c)AFP/Olivia Hampton