【1月8日 AFP】スーダン南部ワラブ(Warrap)州で民族間の衝突が起き、この1週間で少なくとも140人が殺害され90人が負傷したと、国連(UN)当局者が7日明らかにした。新たな内戦に発展する可能性が懸念されている。

 地元筋の情報によると、殺害されたのはディンカ(Dinka)民族で、対立するヌエル(Nuer)民族の武装集団に襲撃されたという。ヌエル民族は約30万頭の牛を強奪したという。

 衝突は今年に入って何度か起きているとみられるが、国連関係者が5日に現地入りし、初めて明らかになった。国連平和維持部隊が調査のため現地に向かっているという。

■南部で新たな内戦が勃発する恐れ

 スーダンは9日、22年にわたって続いた南北間の内戦に終止符を打った「南北包括和平合意(North-South Comprehensive Peace AgreementCPA)」の署名から6年を迎える。4月には、24年ぶりの複数政党による総選挙が行われる予定だ。

 こうした中、同国の治安に対する不安は高まりつつある。オックスファム(Oxfam)など10の援助団体が先ごろまとめた報告書は、暴力の激化、極度の貧困、政治的緊張の「致命的な三重苦」がCPAを崩壊寸前にまで追いやっていると指摘。国際社会が監視を怠れば、スーダンで新たな騒乱が起きる可能性があると警告していた。

 今回の事件は、これらの懸念を裏付けるものだ。
 
 スーダンにおける2009年の民族間紛争による死者は約2500人だが、これは、紛争が続く西部ダルフール地方(Darfur)における同年の死者数を上回っている。(c)AFP/Peter Martell