【11月28日 AFP】28日のジンバブエ政府系日刊紙ヘラルド(The Herald)によると、ジンバブエ準備銀行(中央銀行)のギデオン・ゴノ(Gideon Gono)総裁は、同国の通貨ジンバブエ・ドルについて、同国の年成長率が7%を超えない限り再導入はしないとの考えを示した。

 ゴノ総裁は、ヘラルド紙に対し「不信や市場の不安定化を避けるため、ジンバブエ・ドルの再導入は特定のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)が達成されるまで見送ることを決めた」と語った。

 当面は、ことし初頭に導入された米ドルなどの安定した通貨を継続して使用し、年成長率7%以上と外貨準備高15億ドル以上を確保するまでジンバブエ・ドルの再導入はしない方針。

 ゴノ総裁は、「当面は現状の複数通貨の使用を続けるので、経済全域にわたる市場参加者や利害当事者は、貿易や製造の業態をこの複数通貨制に適応させなければならない」と語った。

 ロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領とゴノ総裁はことし初めにジンバブエ・ドルの再導入が行われる可能性を示唆していた。ムガベ大統領は、失業率が90%以上のジンバブエでは市民が貧困に苦しんでおり、米ドルを入手することができないと説明していた。

 しかし、テンダイ・ビティ(Tendai Biti)財務相は、自国通貨の再導入は、国内経済の全域にわたる部門で生産活動が行われ、経済が安定化してからとの方針を示していた。

 ジンバブエのモーガン・ツァンギライ(Morgan Tsvangirai)首相率いる民主変革運動(Movement for Democratic ChangeMDC)は、ジンバブエ経済が紙幣の増刷でハイパーインフレが起きて崩壊したことについて、ゴノ総裁に一部責任があるとして批判しており、ゴノ総裁の退任を求めてきた。MDFと、ムガベ大統領率いるジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)との連立政権が暗礁に乗り上げたのも、連立発足前にムガベ大統領により任命されたゴノ総裁の人事問題が原因の1つとなっていた。(c)AFP