【8月27日 AFP】太平洋に浮かぶ人口約18万人のサモアでは、9月7日から自動車の通行が右側通行に変更される予定になっている。これに対し、大規模な抗議も巻き起こっているという。右側通行への変更は、1970年代にナイジェリア、ガーナ、イエメンが右側通行に変更して以来となるとみられる。

 政府が2007年に右側通行への変更を発表して以来、これまで大規模な抗議デモが度々行われてきた。全国民の6分の1が変更の中止を求める請願書に署名し、また、サモアの裁判所は今週末にも変更の適法性について判断を下す見通しとなっている。

 地元のバス会社も怒り心頭だという。右側通行に変更された場合、バスは、利用客を道路の真ん中に降ろさないように車体の反対側に新たにドアを設置しなければならないからだ。

 ある村は、右側通行が実施された場合には、車両の通行を禁止すると息巻いている。

 こうした動きに対し、ツイラエパ・サイレレ・マリエレガオイ(Tuilaepa Sailele Malielegaoi)首相は、9月7日の変更実施日を延期するつもりはないと断言し応戦した。9月7日は、2連休の初日のため、右側通行への変更も行いやすいとみられている。

 ツイラエパ首相は、右側通行のオーストラリアやニュージーランドにあわせてサモアが右側通行に変更することで、両国に住むサモア人が右ハンドルの中古車を本国の親類などに送ることが可能になると説明する。その結果、サモアでは自動車価格が安くなり、郊外の人びとも土地開発のためにどんどん車を買うことができるようになるというのだ。

 これに対し、「右側通行変更に反対する市民の会(People Against Switching SidesPASS)」などの反対グループらは、変更がもたらす影響の調査が十分になされておらず、またサモアの運転手の準備も進んでいないとして、首相の「ごり押し」を批判している。なかでも、バス会社やレンタカー会社は、所有する大量の左ハンドル車両が誰にも利用されなくなるとして、最も強く抗議している。(c)AFP