【4月13日 AFP】ソマリア沖で8日、米船籍の貨物船マースク・アラバマ(Maersk Alabama)号(1万7500トン)が海賊の襲撃を受け、リチャード・フィリップス(Richard Phillips)船長が人質になっていた問題で米海軍は12日、海賊3人を殺害、1人を拘束して船長を救出した。

 米海軍によると、午後7時19分(日本時間13日午前1時19分)、米海軍部隊がフィリップス船長を救出した。米CNNは船長にけがはないと報じた。

 フィリップス船長は現場海域に派遣されていたミサイル巡洋艦ベインブリッジ(USS Bainbridge)に収容された後、強襲揚陸艦ボクサー(USS Boxer)に移動。そこで家族と連絡をとり、医師の診察を受けたという。

 マースク・アラバマ号を襲った海賊は、乗組員に撃退され同船の救命ボートで逃走した際、身代金目的でフィリップス船長を人質に取っていた。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領はワシントンD.C.(Washington D.C.)で、「フィリップス船長の身の安全を最優先してきた。船長の家族と乗組員にとって救出はよい知らせになった」との声明を出し、ソマリア沖の海賊と戦う姿勢をあらためて強調した。

■フランスのヨット乗っ取り事件、救出された人質は帰国

 10日には、ソマリア沖で海賊に乗っ取られたフランスのヨットの人質救出作戦をフランスの特殊部隊が実施し、人質になっていた5人のうち4人が救出されたが、ヨットのオーナー、フローラン・ルマコン(Florent Lemacon)氏が死亡した。

 救出された4人は12日パリ(Paris)に戻った。エルベ・モラン(Herve Morin )仏国防相は、ルマコン氏は仏特殊部隊の発砲で死亡した可能性も排除できないことを認め、国民にソマリアへの渡航を自粛するよう要請した。

 死亡したルマコン氏の父親、フランシス・ルマコン(Francis Lemacon)氏は人質の救出に取り組んだ政府と、そのために生命を危険にさらした兵士たちに謝意を表明した。

■別のイタリア船が乗っ取られ

 2件の海賊事件は終結したが、別の海賊グループが11日、イタリア船ブッカニア(Buccaneer)を乗っ取り、約16人の乗組員とともにソマリアに向かっている。同船を運航するイタリア北部ラベンナ(Ravenna)のミコペリ・マリン・コントラクター(Micoperi Marine Contractors)によれば、乗組員の内訳はイタリア人10人、ルーマニア人5人、クロアチア人1人だという。

 ある海賊は匿名を条件にAFPに対し、このイタリア船はアデン湾(Gulf of Aden)に面したソマリアのラースコライ(Las Qorey)に向かっていると語った。(c)AFP/Mustafa Haji Abdinur