【3月4日 AFP】今年で第21回目を迎えたアフリカ最大の映画祭「汎アフリカ映画テレビ祭(Panafrican Film and Television Festival of Ouagadougou、通称:FESPACO)」。マリのアダマ・ドラボ(Adama Drabo)とラジ・ディアキテ(Ladji Diakite)の2人の監督が、今現在アフリカのアルビノ(先天性白皮症)たちが直面している問題に焦点を当てた新作をひっさげて、開催地ブルキナファソの首都ワガドゥグ(Ouagadougou)に約10年ぶりに戻ってきた。

 近年、東アフリカのタンザニアとブルンジでは、呪術使用目的でのアルビノ殺害事件が続発している。アルビノの身体の一部は呪術師に売られ、お守り作りに使用されていると見られる。タンザニアでは数千ドル(数十万円)で取引されることもある。

 映画『Fantan Fanga(こじきのチカラ)』は、混乱のなかにあるマリで起きたアルビノ殺人事件の捜査を描いている。大統領が辞任したばかりで先行きが見えず、人々は「人身御供」という古いしきたりに回帰し始める。

 ディアキテ監督はAFPのインタビューに対し、「(アルビノの殺害は)アフリカのすべての社会が抱えている問題だ」と語った。

 この映画は、マリの社会と家族生活を題材にした3部作の第2作目だ。ドラボ監督・脚本の1作目『Tafe Fanga(スカートのチカラ)』は、マリの村における女性の役割を描いたもので、1997年の同映画祭の審査員特別賞を受賞した。

 2作目もドラボ監督が脚本を担当したが、病気のため助手のディアキテ氏が監督を務めた。

 この作品は、アフリカが抱える問題を取り上げてはいるが、2人の監督は「(アルビノへの偏見について)判断を下すということはしない」と語る。「非難するつもりはない。映画監督として、社会にありのままを見せるだけだ」

 1日に開幕した映画祭のオープニング作品『Mah Saah-Sah(バムーンの恋)』もアフリカ社会の伝統と迷信に焦点を当てたものだ。監督はカメルーンのダニエル・カムワ(Daniel Kamwa)。ある孤児が、移り住んだ先の村で少女に恋をしたが、少女が割礼を受けていないといううわさが流れ、2人にさまざまな難題が降りかかるというストーリーだ。(c)AFP/Stephanie van den Berg

FESPACOの公式HP(英語)

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