【12月9日 AFP】海賊による襲撃事件が後を絶たないソマリア沖で8日、欧州連合(EU)の艦隊がEU初の海上作戦を開始した。一方、国際海事局(International Maritime BureauIMB)によると、海賊は活動範囲をソマリア沖からタンザニア沖まで拡大しているという。

 作戦には少なくとも8か国が参加。艦船6隻、哨戒機3機で構成されるEU艦隊の司令官は、英海軍のフィリップ・ジョーンズ(Philip Jones)氏が務める。

 現場海域では、既に北大西洋条約機構(NATO)の艦船4隻が海賊防止・パトロールなどを実施していたが、これらの任務は同日、EU艦隊に引き継がれた。併せて同艦隊は、人道支援物資をソマリアに届ける国連世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)の貨物船の護衛も行う。

 EUのハビエル・ソラナ(Javier Solana)共通外交・安全保障上級代表によると、艦隊は必要に応じて武力を行使することもあり得るという。

■ ケニアからタンザニア沖まで拡がる海賊の活動範囲

 こうした国際的な海賊封じ込め活動の一方で、海賊はその活動範囲を拡大しているとの報告もある。 

 マレーシアのクアラルンプール(Kuala Lumpur)にある国際海事局海賊情報センターのノエル・チョン(Noel Choong)所長は8日、AFPの取材に対し、これまでソマリア沖を拠点としていた海賊らは、東はケニア沖640-800キロから南はタンザニア沖まで、活動範囲を東方および南方に大きく拡げていると指摘した。

 チョン氏はまた、6日にもタンザニア沖で、武装したソマリアの海賊船がオランダ船籍のコンテナを襲撃し、コンテナが炎上するという事件が発生した事件を例にあげ、「海賊が活動拠点と活動範囲を広げているのは明らか。彼らはより大胆に、そしてより危険になりつつある」と警告した。(c)AFP