【5月26日 AFP】忙しい様を「ネコの手も借りたい」と表現するが、文字通り本当に駅長職にネコの手を借りたのが和歌山電鐵(Wakayama Electric Railway)だ。和歌山県を走る貴志川線(Kishigawa Line)の貴志(Kishi)駅では、9歳のメスの三毛猫「たま」が駅帽をかぶった姿で乗降客を出迎える。

 この「たま駅長」がフランス映画に出演することに決定し、話題を呼んでいる。フランスのドキュメンタリー映画監督ミリアム・トネロット(Myriam Tonelotto)さんによる世界各国のネコの生き方をとりあげた映画『人間の鏡としての猫』に、日本代表としてたまが出演するのだ。

 もともと野良猫として生まれたたまは拾われた後、駅隣にある売店の店主に育てられた。今もこの売店から日曜を除く毎日、隣りの貴志駅に「出勤」しているという。給料は「エサ」の形で支払われる。

 たまが2006年に無人駅となった貴志駅の駅長に抜擢されたの2007年1月。それ以来、たまの人気は爆発的に急上昇。今では全国的な人気者だ。

 和歌山電鐵広報の山木慶子(Keiko Yamaki)さんによると、たまの駅長就任は「人件費削減対策の一環だった」というが、結果的には「福の神」となった。

 人気上昇に伴い、たまは1月、「スーパー駅長」に昇格し、駅長室も与えられた。4月に行われた駅長室の新設式には、中村愼司(Shinji Nakamura)紀ノ川(Kinokawa)市長や小嶋光信(Mitsunobu Kojima)和歌山電鐵社長も出席し、華々しく執り行なわれた。

 山木さんの話しでは、和歌山電鐵36人の従業員中、女性の管理職は、たまだけだという。(c)AFP/Toru Yamanaka


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