【5月4日 AFP】西アフリカ9か国の政府間グループ、ニジェール川流域機構(Niger Basin AuthorityABN)は4月30日、1億1000万人が依存しているニジェール川(Niger River)を保護するための20か年救済計画を採決した。計画には55億ユーロ(約9000億円)が投入されるという。

 ニジェールの首都ニアメー(Niamey)で開催された会議には、アフリカで3番目に長いニジェール川(全長4200キロ)に接するブルキナファソ、ベナン、カメルーン、チャド、ギニア、コートジボワール、マリ、ニジェール、ナイジェリアの9か国が参加した。

 計画は、5年ごとに4期に区切って行われ、2027年に終了する。資金の80%は社会・経済のインフラ整備に、残り20%は植林やシルト(沈泥)の除去など、環境対策に投入される。生態系の保護と干ばつ地帯の肥沃(ひよく)化を目指し、ニジェールとマリに1つずつダムを建設することも予定されている。

 だが、資金は現段階で19%しか集まっておらず、6月23日に再度会議を開いて、さしあたり2008-2012年の第1期に必要な14億ユーロ(約2300億円)の資金を募るという。

■危機にひんしたニジェール川

 今回の会議では、参加9か国の間で水資源を公平かつ理性的に分配する「水憲章」も採択された。これが施行されると、必要以上の水の消費や汚染行為が認められた国には、相応の罰金または税金が課されることになる。水憲章は、上流における建設作業が下流域の国々にダメージを与える可能性を点検する必要性もうたっている。

 ニジェール川は、気候変動による干ばつ、人口の増加、シルトの堆積、ゴミの投棄などにより、過去20年間で流量が55%も減少している。この影響で有害な水生植物が発生し、航行が妨げられ、水産資源が減少している。

 流域に住む1億1000万人の大半は貧困層だ。流域人口は2025年までに2倍に膨れあがることが予想されることから「環境難民」が大量に発生することが懸念されている。(c)AFP